
第4回となる「新宿人事交流会」では、Z世代・ミレニアル世代が重視する「ウェルビーイング」や「働く意味」について語られました。 仕事とプライベートの双方を充実させたいという価値観を、モチベーション、メンタルヘルス、タイパなど、さまざまな観点から紐解いていく内容です。
今回の交流会では、心理学博士であり、ベストセラー『モチベーションの問題地図』の著者である関屋裕希氏をゲストにお迎えしました。最新の心理学知見をもとに、若手社員のモチベーションを高めるための実践的なヒントをお話しいただきました。

Z世代とは、1990年代後半から2010年前後に生まれ、デジタルネイティブとして成長してきた世代である。2026年時点では16歳から30歳前後が該当し、幼少期からインターネットやSNSを自然に使いこなしてきた点が特徴だ。
「〇〇世代」という世代論は、心理学では「類型論」と呼ばれるアプローチである。全体像を把握しやすい一方で、個人差を見落としやすいという側面も持つ。決めつけは避け、「目の前の一人ひとりを丁寧に見る」という姿勢と合わせて活用することが重要であるという。
その前提のもと、調査データをもとにZ世代の仕事観が紹介された。ワークライフバランスを重視する、仕事とプライベートを明確に分けること、メンタルヘルスを守りながら働くことなどは、一般的なイメージとも一致する傾向である。一方で、「なりたい自分」のイメージとして、「信頼される」「仕事ができる」「経済的豊かさ」といった仕事上の成果や目標が挙げられている点は重要なポイントだ。
つまりZ世代の価値観は、仕事よりもプライベートを優先するというものではなく、両方を充実させたいという考え方である。また、Z世代の代名詞ともいえる「タイパ(タイムパフォーマンス)」も、単なる効率重視ではないことが示された。自分にとって大事だと思うことには時間を惜しまず、学びや成長に継続的に取り組む人が増加傾向にあるという。

Z世代が周囲との関係をどう捉えているかについて、興味深いデータが示された。「目立たないようにする」「失敗しないようにする」「恥をかきたくない」「他人からの評価が気になる」といった項目が高い割合を占めており、他者の視線を強く意識している様子がうかがえる。
ある地方国立大学での事例では、レポート提出を記名式から無記名に変えたところ、レポートの質が大幅に向上したという。Z世代以前の感覚では、無記名になると「評価に影響しないため質が下がる」と考えがちである。しかし、他人からの評価が気になるZ世代にとっては、誰が書いたか分からない状態のほうが本気を出せるという。
一方で、「改善のため厳しく叱ってもらいたい」と考える割合が近年上昇しているというデータも示された。成長につながるのであれば、厳しいフィードバックも受け入れたいという意識が高まっているのだ。ただし、その前提として、相互の信頼関係と心理的な安心感が不可欠である。
さらに、Z世代を社内に囲い込むのではなく、社外を中心とした活動に積極的に参加させることは、本人と企業の双方にメリットがあるとされた。業務外の経験を通じて視野が広がり、傾聴力や主体性、発信力が高まることで、本来業務に活かせるスキルや知識が獲得につながるという。
世代間の違いだけでなく、共通点も多く存在する。
例えば「私生活とバランスがとれる仕事が理想」という項目では、Z世代よりも40代のほうが高い割合を示している。ワークライフバランス志向は、若手世代特有のものではなく、幅広い世代に共通する価値観だ。また、学び続ける姿勢も世代を超えた共通項である。DX推進やAIの普及により、入社後の社内教育だけでキャリアを完結させることは難しくなり、継続的な学習は全世代にとっての課題となっている。
仕事においては、承認やフィードバックの重要性も共通して認識されている。達成感を得られること、自身の知識やスキルを活かせること、新たな学びや成長の機会があることが、組織で働き続けたいという意欲につながる。
オンラインでのコミュニケーションが多い時代だからこそ、1on1や重要なチームミーティングは対面で丁寧に行うことが重要だ。良好な人間関係の中で働くことで、チームの一員としての実感が生まれ、満足感や幸福感が高まるのである。
モチベーションは「ある」「ない」という二択で語られがちだが、実際の心理状態はより複雑である。心理学的には、モチベーションは、「やる気なし」→「仕方なくやる」→「大切だからやる」→「楽しいからやる」という4つの段階に分類される。
この左から右への移行は、心理学では「動機の内在化」と呼ばれ、動機の源が外側にある状態から徐々に内側に移り変わっていく過程を示している。それぞれの段階を引き上げるためには、心理的欲求を満たしつつ、段階に応じた異なるアプローチが必要になる。
「やる気なし」状態から「仕方なくやる」への状態へは、報酬や罰を活用して行動を促すことや、世間体や他者評価を活用して行動を促すことが有効である。「仕方なくやる」から「大切だからやる」へは、仕事の目的や意義を理解し、自分にとって何が大切かを考えてもらうこと、組織のビジョンと個人の価値観を結びつけることが効果的である。さらに、「大切だからやる」から「楽しいからやる」へと移行するためには、スモールステップで挑戦の難易度を上げていくこと、ワークエンゲージメントの高い上司や仲間と一緒に働くことが有効である。
このように、心理学を手がかりとして、やらされ感を働く喜びへと転換していくことができる。本交流会では、会社で働く若手社員の幸せやウェルビーイングと組織の成長を両立させるための、具体的かつ実践的なアプローチが示された。

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