
BPRとは業務プロセスを抜本的に見直す業務改革のことで、BPOはその業務を外部に委託する手段です。さらに、よく似た言葉に定型業務を自動化するRPAがあります。
BPR・BPO・RPAは混同されやすいものの、整理すると業務改革の全体像が見えてきます。本記事では、BPRとBPOの違いをRPAも含めて整理し、人事BPRが求められる背景、メリットやコスト削減効果、導入事例、進め方のステップまでわかりやすく解説します。
「BPRとBPOの違いが曖昧」「人事領域で何から着手すればよいか分からない」とお悩みの方は、ぜひ最後までご覧ください。
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ネットで”BPR”を調べると、「“Business Process Re-engineering”の略で、業務プロセスを再構築する」と書かれている記事をよく見ますが、これってどういう事なのだろうと思ったことはありませんか?的を射ているようですが、ただ直訳しただけのように思えます。では、具体的にはどういう事なのでしょうか?話を進めていく前に一旦整理してみましょう。
業務プロセスを「根本的に再構築」するのが“BPR”、「個々の業務を見直す」のが“業務改善”と分類できます。
キッチンに例えてみると、リフォームやレンジ・冷蔵庫などを大きく入れ替えるのがBPRで、食器や調理器具の配置を工夫するのが業務改善かなと、思っています。
セントラルキッチンに変えたりレンジを最新のものに変更したりすると、同じ料理を作るにも調理方法や配膳までの方法は変わってきます・・・これがBPR。
ちょっとお皿が出しにくいから食器棚の配列を変更したり、動線に無駄があるのでフライパンの片づけ場所を変更したりして工夫する・・・これが業務改善。
また、ネットでBPRを調べていると“BPO”なるワードもご覧になられているかと思いますが、では、この“BPO”は何を意味するものなのかご存じでしょうか?私が考えるBPOについて、BPRと絡めて説明させていただきます。
“BPO”とは「“Business Process Outsourcing”の略で、会社でおこなう業務の一部を外部委託」する事で、ちょっとBPRと意味合いは異なりますが、実は密接しているとも言えます。
RPAとは、Robotic Process Automation(ロボティック・プロセス・オートメーション)の略で、定型的な事務作業をソフトウェアのロボットで自動化する仕組みです。
BPRとBPOの違いを調べると、RPAという言葉もあわせて目にする方が多いのではないでしょうか。3つの関係を整理すると、BPRが業務改革の「目的・方針」であり、BPO(外部委託)とRPA(自動化)は、その目的を実現するための「手段」にあたります。
3者の違いを、以下の表にまとめました。
| 比較項目 | BPR | BPO | RPA |
| 正式名称 | Business Process Re-engineering | Business Process Outsourcing | Robotic Process Automation |
| 意味 | 業務プロセスの抜本的な再構築(業務改革) | 業務プロセスの外部委託 | 定型業務の自動化 |
| 位置づけ | 目的・方針 | 手段(委託する) | 手段(自動化する) |
| 対象範囲 | 全社・組織全体 | ノンコア業務が中心 | 繰り返しの定型業務 |
| IT活用 | 必須ではない | 委託先により異なる | 必須(ソフトウェアで実行) |
3つは対立する概念ではありません。BPRという改革の中で、BPOやRPAを手段として組み合わせて使うのが一般的です。たとえば、BPRで業務全体を見直したうえで、定型業務はRPAで自動化し、ノンコア業務はBPOで外部委託する、といった使い分けができます。
人事BPRとは、人事労務領域の業務プロセスを抜本的に見直す取り組みです。近年その必要性が高まっており、背景には主に次の4つがあります。
それぞれの背景を解説します。
人材を「コスト」ではなく「資本」と捉える人的資本経営の考え方が広がっています。人事部門には、定型業務の処理だけでなく、人材を育て活かす戦略的な役割が求められるようになりました。そのため、煩雑なノンコア業務を見直し、戦略業務に時間を割く必要が生じています。
少子高齢化により、労働人口は減少を続けている状況です。限られた人員でコア業務に注力するには、人事労務業務の仕組みそのものを見直すBPRの重要性が増しています。人手不足は多くの企業が課題と感じており、業務効率化への関心は年々高まっています。
人事労務領域は、社会保険や労働関連法令の改正が頻繁にあります。さらに、リモートワークや短時間勤務など働き方も多様化しました。属人化した古いプロセスのままでは対応が追いつかないため、プロセスの標準化・再構築が求められています。
長年カスタマイズを重ねた人事システムは、柔軟性を失うことがあり、現行制度との間に歪みが生じるケースも少なくありません。システムを入れ替えてDXを進める際は、業務プロセスごと見直すことで、より大きな効果が見込めます。
レジェンダ担当者のコメント
採用支援の現場では、「採用担当者が事務作業に追われ、面接や候補者対応に十分な時間を確保できない」という課題が増えています。また、担当者の異動や退職をきっかけに業務が滞り、応募者対応の遅れから辞退につながるケースも少なくありません。
こうした属人化や非効率は、採用業務のプロセスを見直すことで改善できます。実際に支援先では、業務の棚卸しと標準化によって、候補者への面接案内にかかる時間を約半分に短縮できました。さらに、データ管理がしやすくなったことで、経営向けレポート作成も毎週2時間から30分程度に削減。生まれた時間を経営との議論に充てられるようになったと評価いただいています。
では、人事労務業務でBPRをおこなうことで得られるメリットとは何でしょうか?
従業員の能力を最大限に活かせる業務フローを構築する事により、適切な人員配置などが可能になります。
業務プロセスの見直しにより、無駄なプロセスが改善され業務コストの削減が見込めるようになります。たとえば、ノンコア業務を外部に委託すると、内製で発生していた人件費や教育コストを抑えられます。コスト削減効果は委託範囲によって変わるため、自社の業務量に応じた試算が大切です。
無駄なプロセスが排除される事で、意思決定や決裁までの時間短縮が可能になります。無駄なプロセスを排除することで、意思決定や決裁までの日数短縮が期待できます。承認フローの見直しは、リードタイム短縮に直結しやすい施策です。
業務効率化により創出した時間をコア業務に充てる事で生産性向上が見込める他、削減できたコストを新たな投資に充てる事ができるようになります。効率化で生まれた時間をコア業務に充てることで、生産性の向上が見込めます。創出した時間を月あたりの工数として可視化すると、効果を社内で共有しやすくなるでしょう。
BPRをおこない業務プロセスを透明化させることにより、属人化を排除し、担当者の離職や休職があった際のリスクを回避する事ができます。
何事でも同じことが言えますが、物事を変えていくには相応の覚悟を持たないと、失敗に終わる事があります。そうならないためにも大切な事はこの2つだと私たちは感じています。
では、人事BPRを成功させるにはどのような進め方をしていけばいいのでしょうか?当社が実際にお客様に提供しているプロセスを紹介いたします。
現在遂行している業務フローをタスク毎に確認していきます。この作業は可能な限り細かく5W2Hを明確にするのを心掛けてください。特に“Why=なぜ”を意識するようにします。
詳細化した業務毎に課題が無いか確認し、問題点があった場合は具体的に文字に起こして可視化させます。
可視化された課題を解決させる施策を検討します。ここで重要なのは、課題解決を「点」で見るのではなく、前後の作業や他部門との関係にも気を付け乍ら俯瞰で検討する事です。また、前の工程で“Why”が具体化できなかったタスクは、もしかしたら不要な工程かもしれません。「やるように引き継いだから」という理由だけで「何のために」がはっきりしない業務は廃止したとしても困らない事が意外にあります。
議論を尽くした課題解決策であっても、実践してみないと分からないこともあります。また、当初の課題は解決したものの、プロセスが変わった事により新たな課題が生じることもありますので、しっかりと検証はすることを忘れないでください。
これらの「やってみてわかったこと」に向き合う事を怠ってはいけません。この作業を軽視すると、BPRが定着せず効果が一時的なものになり失敗に終わる事があるので、極めて重要です。
人事BPR・BPOは、給与計算や勤怠管理、採用事務など、人事労務の幅広い業務で活用されています。ここでは、代表的な活用イメージを紹介します。
各業務の「課題」「施策」「効果」を、以下の表にまとめました。
| 業務 | Before(課題) | 施策 | After(効果) |
| 給与計算 | 毎月の手作業集計でミスや残業が発生 | 計算業務をBPOで委託し、チェック体制を標準化 | 計算ミスの削減と、担当者の残業時間の短縮が期待できる |
| 勤怠管理 | 拠点ごとに様式がばらばらで集計に時間がかかる | BPRで様式を統一し、RPAで集計を自動化 | 集計工数を削減し、担当者がコア業務に集中しやすくなる |
| 採用事務 | 応募者対応や日程調整に追われ、採用が停滞 | 応募対応や日程調整をBPOで委託 | 選考スピードが向上し、母集団形成に注力しやすくなる |
このように、人事BPR・BPOは「どの業務に課題があるか」を起点に、最適な手段を組み合わせて進めることが大切です。
レジェンダ・コーポレーションでは、人事労務領域のなかでも給与計算・勤怠管理・採用事務に関するご相談を多くいただきます。自社の課題に合った進め方を知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。
レジェンダ担当者のコメント
人事労務支援においてBPRを実施した結果、ペーパーレス化やシステム刷新、ワークフロー見直しなど30件以上の課題を抽出しました。その後、優先順位を付けて改善を進めたことで、人事担当者の工数削減とシステム活用の促進を実現しました。BPRを外部に依頼するメリットは、社内では気づきにくい無理・無駄を客観的な視点で可視化し、効果的な改善策を提案できる点にあります。
これまで、進め方や考え方についてお話ししましたが、こちらでは講じていく具体策を紹介いたします。タスク毎に可視化された課題を解決に導く為に、どの策を講じたらよいか当てはめて検討していきます。
業務の進め方に課題を見出した場合、業務実施内容を再考して改善します。
手間がかかってもやらねばならない業務は必ず存在します。その場合は、業務をおこなうツールの機能を見直す事で改善を試みます。
従業員を育成して改善をおこなうという考え方もあります。但し、担当者個人のスキルアップではなく、担当部門や従業員全体の育成で底上げを目指すものでなくてはいけません。担当者だけがレベルアップし能力が向上すれば、それこそ属人化が進んでしまいます。ですので、あくまでも「〇〇部社員はxxを習得している事」というように部門全体を育成する事が大切です。
使いづらいと思いつつも長年利用しているフォーマットなどは皆さまの会社にはありませんか?それを見直す事で業務が驚くほどスムーズに変わる事があります。それは「長年ずっと使っているから」のような理由で、フォーマットの本来の機能を失っている事に気づいていない事が多い為です。企業活動に限った事ではありませんが、大きな制度改定ではなくても、小さな約束事が変わったりします。そのような事が起こった時には利用しているフォーマットも都度見直してみてください。
フォームの見直しと同じように、長年利用しているシステムと現行制度に歪みが生じてくることがあります。導入当初はスムーズに利用できていたシステムでも、カスタマイズを繰り返した結果、システムが柔軟性を失ってしまいます。また、人事システムの進歩は目を見張るものがありますので、利用するシステムを変えてみてDX化を推し進めていく改善は、費用はかかるものの、最も効果が見えてくる手法と言えます。
先にもお話ししましたが、BPOはBPRの一環であり、外部専門家の知見を取り入れて、業務改革を推し進め、業務の品質向上や安定稼働をもたらすことができます。BPOを実際に導入する際は、次の4つのステップで進めると円滑です。
| ステップ | 内容 |
| ① 課題整理・業務の切り出し | 社内の課題を洗い出して可視化し、BPOで解決できるノンコア業務を切り出します。委託する目的と範囲を明確にします。 |
| ② 委託先の選定(RFP作成) | RFP(提案依頼書のこと)で委託範囲やKPIを定め、複数社の提案を比較します。実績・専門性・コミュニケーションのしやすさを重視します。 |
| ③ 引き継ぎ・試験運用 | 自社のルールや必要な情報を積極的に共有し、試験運用で問題がないかを確認してから本稼働します。 |
| ④ 継続的なモニタリング | 委託後も定期的に効果を測定し、課題があれば委託先と打ち合わせて改善します。 |
委託先に丸投げするのではなく、必要な情報を共有しながら進めることが、BPO成功のポイントです。
基本は、まずBPRで業務全体を見直して課題を整理し、その解決手段としてBPOやRPAを選ぶ流れが適しています。
BPOとRPAは、あくまで課題を解決するための手段です。課題の整理(BPR)を飛ばして手段から入ると、本来は不要な業務まで自動化・委託してしまう恐れがあります。まずは「何のための業務か」を見直し、不要な業務を削減することが先決です。
一方で、3つの関係は一方通行ではありません。BPRの結果としてBPOやRPAの適用先が見つかることもあれば、RPAの導入をきっかけにBPRが進むこともあります。
何から着手すべきか迷う場合は、業務全体を見渡せる専門家に相談するのも有効な方法です。人事業務のBPR・BPOについては、創業30年・889社の支援実績の強みをもつレジェンダへ、お気軽にお問い合わせください。
人事BPRの考え方について話を進めてきましたが、ここでは、実際にBPRを推進する際に留意しておきたい点を紹介します。
何事にも言えますが、改革をする際には明確に「あるべき姿」を持つようにする必要があります。そのためには課題がどこにあるかしっかり検討してください。また、もし老朽化したシステムを入れ替えるのがきっかけだったとしても、新しいシステムで何を実現したいかを検討してみてください。「現システムと同じようにできれば良い」では、進歩が見込めませんのでご注意を。
冒頭でもお話ししましたが、特に管理業務のBPRは役職や立場で考えにズレが生じる事があります。“経営層”、“管理部門”、”従業員“全てにメリットを感じてもらえるような施策を検討し、周知させることが肝要です。
抜本的な改善に費用と時間をかけるBPRは“出たとこ勝負”で進める事は許されません。事前の検討から改善策の策定、担当者のアサイン、業者との交渉、社内周知、テストから本稼働まで、詳細化したマスタスケジュールを作成し、更に不測の事態に備えたコンティンジェンシープランまでも準備しておくのが望ましくあります。
人事BPRのトレンドと手法に関する詳細はこちらをご覧ください。
>> なぜ、いま人事BPRが求められているのか?人的資本経営を支える人事BPRトレンド4選
本記事では、BPRとBPOの違いをRPAも含めて整理し、人事BPRの必要性から進め方、導入事例までを解説しました。要点は以下の通りです。
業務プロセスを根本から見直す人事BPRは、人事業務の効率化と最適化を実現する有効な取り組みです。当社では創業以来、お客様と並走しながらBPRをおこない、人事業務の効率化と最適化を推し進めています。
人事・労務管理の見直しを検討される際には、多くのノウハウを持った当社コンサルタントが支援いたしますので、ぜひ当社にご相談ください。
当社では創業以来お客様と並走しながらBPRをおこなっていき、人事業務の効率化と最適化を推し進めています。
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